日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月18日短い話をするために気をつけるべきこととは?



★短くても冗長に感じる話がある


ベーシックコースは前半に話し方やコミュニケーションに関する講義を行い、後半に人前に立って2分間のスピーチを行う実習を行っています。この実習は人前で話すことに慣れるとともに、2分間という短い時間で具体的に話せるようになることを狙いとしています。講座に参加する前にしっかりと原稿を作って何度も練習した人は概ね2分以内に話を終えています。しかし、中には2分30秒以上話す人もいます。そういう話を聞いていると、わずか2分半でも「長いな~」と感じてしまいます。話が冗長だからです。





★話は短く話さねばならない


「2分半くらいなら長いと感じないのでは?」と思われる方もいるかも知れません。しかし、実際に2分を超えるスピーチを聞いていると多くの方が「この話、長いな~」と感じます。
それは余計なことを話しているので、まとまりがなく、話がつまらないからです。日本話し方センターでは
「必要なことを、必要な時に、必要なだけ、話す」
ということを伝えています。余計な話をすると聞き手は「話が長い」と思うだけでなく、余計なことが邪魔をして話をわからなくしています。こうしたことから、話はなるべく短くした方がよいのです。2分のスピーチであれば話は2分で終わらせなければなりません。



★省くべきは『前置き』


では、そうした冗長な話はどの部分が余計なのでしょうか? それは「前置き」です。
例えば、朝礼でスピーチをする際、話したいことがつぎのようなことだとします。


「あわてて家を出たので鍵をかけるのを忘れてしまいました。どんなに急いでいるときでも身の回りを点検すべきだと思いました」


このような話をする場合、多くの受講生は前置きをこんな感じで話します。
「その日は高校時代にとても仲がよかった友人5人と10年振りに会うのでずっと楽しみにしていました。その友人たちとは3年間ずっと同じクラブで、県大会出場を目指して毎日毎日、お正月も夏休みもなく厳しい練習を耐え抜きました。結局、県大会には出場できなかったけどその時にできた絆はとても強いものになりました。私が東京に出てきてからなかなかみんなと会う機会がなかったので『ついに会える』と思うとうれしくてたまらなかったのです。なので身支度を念入りにしていたため、家を出るのが待ち合わせに間に合うギリギリの時間になってしまいました」


実は、この長い前置きで必要なのは「高校時代にとても仲がよかった友人5人と10年振りに会うのでものすごく楽しみにしていました。そのため念入りに身支度をしていたため、家を出るのが待ち合わせに間に合うギリギリの時間になってしまいました」という部分だけです。



★伝えたいことに関することだけ話す


2分間のスピーチでは500字くらいまでしか話せません。多くのことは話せないのです。この話ではあくまで「あわてていても身の回りを確認しよう」ということが言いたいのです。であれば、前置きはそれに関することだけに留めるべきです。上の例で言えば、県大会出場に向けて皆で切磋琢磨したなどの話は不要です。本人は思い入れが強いことなので「ぜひ話したい!」と思うでしょうが、聞き手にとっては余計な話なのです。


前置きを短くした上で、
・何故あわてて家を出たのか
・鍵をかけ忘れた時はどんな気持ちだったのか
・結局家は無事だったのか
などを具体的に話さないと聞き手には伝わりません。
関係のない話が多い「前置き」は不要なのです。繰り返しになりますが、高校の時にどういう活動をしていたかは言わなくてもよく、楽しみにしていたことが聞き手に伝わればよいのです。



★『言いたいこと』と『理解して欲しいこと』を区別する


「言いたいこと」と「人に聞いて理解して欲しいこと」は異なります。しかしながら多くの方はこのことを意識して話をしていません。言いたいことを理解してもらうために必要なことだけを話す。そのために前置きでは必要なことだけを話すことを意識していただきたいと思います。



★相手に伝わる話し方を身につけませんか?


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中コースでは、話の組み立て方や伝わりやすい話し方をスピーチ実習を通して学んでいただいています。ぜひ、その効果の程を「受講者の声」でご確認ください!

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